監督奮闘記 2014
 <福島 生きものの記録> 2作目完成
 

 久しぶりになります。何やかにやと忙しくサボってしまいました。
 福島ドキュメンタリー映画ようやく2作目完成です!
題して「福島 生きものの記録」シリーズ2~異変~となりました。
 第1作目のサブタイトルが~被曝~。そして、今回は~異変~。
 とにかく手探りだった1作目でしたが、福島の被曝地に通うこと10数回。
少しずつ手ごたえを感じ、2作目は生きものたちのターゲットを絞りこんだつもりです。
 しかし、そう簡単ではありませんでした。解かってきたことは、放射能というものの影響は
見た目ですぐに現われるような代物ではないということです。
 モリアオガエルを繁殖行動から、オタマジャクシ、子ガエルになるまでじっくり観察したが
外見からは何も異変を発見することはありませんでした。カメラマンは水槽で卵からふ化まで
じっくり撮影してくれたのですが・・・。

 ニホンザルも然りです。この年誕生した赤ん坊に狙いを定めたのですが。もっとも、野生のサルを追うのは骨が折れます。それでも南相馬市の群と飯舘村の群を追い、4,5頭の母ザルと赤ん坊を見つけ撮影しました。結果、特に奇形など異常のあるものはいませんでした。

 見た目はっきり現われたのはツバメでした。1作目で1羽発見したのですが、今回は
8羽(日本野鳥の会が確認したものも含め)でした。宮城県でも7羽見つかっております。
 ツバメに関しては、長年チェルノブイリでツバメを観察してきたティモシー・ムソー教授のお話で
裏づけも取れました。喉や頭部に白斑のあるツバメは、チェルノブイリと福島でしか見られないと。
 
 異変がつづいていたのは飼育和牛でした。浪江町で被曝した和牛、
350数頭を今でも飼い続けている「希望の牧場」の斑点牛がそうです。体に白斑のある牛のことです。
 こちらも1昨年より昨年のほうが数も増え、体全体に及ぶ斑点牛が目立つようになっていました。
 牧場長の吉沢正巳さんは農水省にちゃんと調べてくれと要請し、ようやく実現したのですが
結果は今のところ解からないでした。吉沢さんは解からないことが解かったと苦笑い。
 要は、継続して検査を行うことだという伊東獣医師の言葉に尽きると思った。放射能の影響か
どうかすぐには結論がでなくとも、疑わしい事には違いないのだから。

 そんな訳で今回の2作目も七転八倒しながえらの完成だった。
 アカネズミ・モグラの継続調査をしている森林総研の主席研究員、山田文雄氏。ヤマトシジミの
実験調査で異形を発見した琉大准教授、大瀧丈二氏。そして捕獲された被曝前と被曝後のニホンザルを
福島市からの委託で解剖し、筋肉中のセシウム蓄積量を比較、考察をしてくれた日本獣医生命科学大学教綬、
羽山伸一氏等に負うところ大となった。

   

 

 
   異常に成長したたんぽぽ  安達太良ツバメ  
 以上、反省しながら第3作目に向う所存。
今回は福島第一原発に近い警戒区域に入れる取材許可を得た。
原点に帰り、今一度事故現場の中心地から生きものの有り様を視つめる!
ロケは、5月下旬まもなく始まる。
2014522  
映画監督 岩崎雅典 


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