監督奮闘記 2013 | ||||||
<福島 生きものの記録> 第2作目の狙い | ||||||
昨年、被曝地福島へ10数回通った。手探りの連続だった。訪ねた地域は6市町村。最も多く足を運んだ南相馬市ではツバメの喉に白斑のある個体を発見した。チェルノブイリで放射能の影響と判断されたツバメが早くも2年目で出現していた。キジ、イノシシ、ニホンザルは住民が消えた山里に出没、わが世の春を謳歌するように振舞っていた。だが、そこはいずれも放射性物質の高線量地帯だった。 |
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さて、2作目だ。<シリーズ 1>のサブタイトルは”被曝”だった。<シリーズ 2>は”異変”。事故から3年目、放射能により被曝した生きとしいけるものたちの被害現象はこれからさに増えると予感する。
川内村ではイワナ、ヤマメなど淡水魚の調査が行われた。国や県が腰を上げないのに業をにやし、渓流釣りの愛好家たちが立ちあがった。釣り上げた魚を線量計測器で調べたところ、昨年より数値が下った河川もあったが、いまだ数百ベクレルのセシウムを蓄積しているイワナ、ヤマメが生息している渓流もあった。 |
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異常に成長したたんぽぽ | サルの親子 | |||||
2作目で、これらの実態をどこまで描けるのか、それは正直解らない。ただ言えることは、被曝した”生きものたち”の事態が好転しているとはとても思えない。森林地帯はいまだ除染の対象になっていないからだ。 カメラを持ち込み、撮影をつづけるしかない。その覚悟である。 第1作目では友人・知人はもとより、情報を見聞きした数多くの方から支援の浄財をいただいた。また、上映会ではたくさんの励ましのメッセージ、示唆に富んだご意見を寄せてもらった。 2作目の製作にあたり、この場を借りてお礼を申し上げます。 深謝。 |
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2013年9月 | ||||||
映画監督 岩崎雅典 |
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